- HOME
- 造園コラム
- 樹木・草花・芝の知識
- 第一回 樹木をきれいで健康に保つために、必要なお手入れ『剪定と刈込』編
第一回 樹木をきれいで健康に保つために、必要なお手入れ『剪定と刈込』編
更新:2020年08月26日 公開日:2018年03月30日
樹木の枝葉を切り整えていく剪定(せんてい)と刈込(かりこみ)について
殆どの樹木は春になると目覚めます。花が咲いたり枝葉が繁ったりして生長して行きますが、晩秋になると来春まで休眠します。(落葉樹は休眠期に葉を落とします)
毎年このサイクルの繰り返しなので、一見放置しても問題ないような気もしますが、実は樹木を健康でキレイに保つために、年間で様々なお手入れが必要なのをご存知でしょうか?
皆様のより良い緑とのお付き合いのために、これから6回に分けて樹木を管理するための作業と必要性について庭師としての観点から簡単にご紹介したいと思います。
第一回目は、樹木の枝を切り整えていく基本となる剪定と刈込についてです。
剪定作業
最も町中で作業を見かける事が多いと思いますが、樹木の不必要な枝を切り、形を整える作業の事を剪定といいます。
剪定には、基本剪定・強剪定・軽剪定・支障枝剪定などの方法があります。
基本剪定は、樹木の不要な枝を切除することで樹木本来の機能を生かし、樹木の形と健康を整えていく剪定になります。
強剪定は、繁茂し過ぎた樹木を必要十分な樹形にまで戻すので、基本剪定より幹に近い位置の枝葉を切除する剪定になります。
軽剪定は、強剪定のように思い切った剪定ではなく、枝葉の量を少なくすることで、樹冠内の日当りと風通しを確保して、生育不良や病害虫の被害を抑える剪定になります。
支障枝剪定は、伸びた枝葉が通行の妨げや視界不良による危険増大など、人の立場から見て支障をきたしている樹木の剪定になります。
樹木にはそれぞれの成長サイクルに合わせた剪定が必要です。適した時期に剪定を実施しないと樹木の負担になるので樹勢が衰弱する原因となります。また、花実木も定期的な剪定が樹木全体の養分を調整することで開花・結実に繋がります。
繁り過ぎた樹木には下記のような弊害があります。
光を遮って風通しも悪くなるので害虫の発生や病気のリスクが高まります。薄暗くなれば防犯上も良くありません。また、枝葉が道路や隣の建物及びベランダの内部など、人の立場から見て迷惑になる場合もあります。
このような弊害は定期的に管理を続けることで未然に防止できます。
刈込作業
刈込とは、樹木の樹冠を整える作業になります。
樹冠から飛び出した枝葉の切除など、表面的な高さや幅を整えて見た目を良くする事が主な目的になります。
刈込にも樹木・用途に合わせ種類があります。
玉物刈込は、文字通り単木を丸く刈り込むことで、ひとつの独立した景観に仕上げます。球形や円筒形などの種類があります。
生垣刈込は、並んで植栽された樹木を四角い緑の壁のように刈り揃えます。通常は樹木を結びつける垣根(布掛けや四つ目垣などの種類があります)と併用して、不審者の侵入防止や目隠しとして家の中のプライバシーを確保するなどの用途があります。
寄植刈込は、複数の樹木をひとまとめにして刈り込むことで、景観を全体的に整えます。形は四角がメインとなりますが、複数組み合わせることで段々畑のように立体的な表現もできます。
仕立物刈込は、より見た目を意識した刈込を行うことで、個性や芸術性を前面に出す手法です。その種類は、円錐作り・蝋燭作りなどの伝統的な手法から、西洋庭園でよく見られるトピアリーのように鳥や動物のキャラクターの型作りや、立体的な幾何学模様を造形するなど様々な手法があります。
以上のように、ひとくちに剪定や刈込作業と言っても、季節や樹木の状態に合わせて様々な作業を行います。 また、ただ枝を切りそろえるだけではなく、数年後の生育状況を予測しながら行うことで、枝の隙間から光が差し込む美しい景観や、心地よい癒しを得られる環境(※)になるよう考えながら職人達は日々作業を行っています。
※近年、フィトンチッドと呼ばれる樹木などが発散する揮発性物質が、ストレス軽減や血圧・脈拍の安定に効果があるとも言われています。実際にどれほどの効果があるのか未知数ですが、現場の環境やお客様にとって良い影響となるのであれば、私達職人にとってこれほど嬉しい事はありません。
葛飾区 小林造園のコラムをお読みいただきありがとうございます。
もし、当記事が役に立ちましたら『いいね!』していただけると幸いです。
※facebookページでも更新が確認いただけます。