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第五回 樹木をきれいで健康に保つために、必要なお手入れ『芝生管理』編
更新:2023年11月16日 公開日:2018年09月10日
前回に引き続き『樹木をきれいで健康に保つために必要なお手入れ』について、造園・庭師の目線からご案内をしたいと思います。
グリーンが一面に広がる芝生の管理
運動場や競技場、公園などに広がる芝生。公共の場所で使用されている事も多く、芝生の上でくつろいだ事もあるのではないでしょうか?
キレイなグリーンのじゅうたんのようで、アスファルトのように固くないので、ごろっと出来てしまう癒しの空間でもあります。
芝生の目的
芝生には2種類の目的があり、1つは競技場などで運動する為、公園で遊んだり、くつろぐ為の目的がある場合に植えられた利用芝生と、もう一つは広場などにある観賞を目的にした美観芝生があります。
公園などの芝生は、両方の目的で植えられています。
芝生の管理
芝刈・除草
芝刈は名前の通り、芝生を刈る事を言います。芝の背丈を揃え美観の維持をする為、芝刈機など(狭い所や境界部など機械が届かない場所には鎌を使います)を使用して芝刈を行います。
芝は横に伸びる(匍匐系)性質がありますので、芝刈の回数が増えるごとに芝の密度が濃くなって、結果として雑草の生育抑制に繋がります。
芝刈は新芽が出揃う5月から休眠期に入る11月の間に行います。回数は利用芝生の場合は年2・3回、美観芝生の場合は年8回前後が標準です。
雑草の除去はその都度こまめに実施することが理想ですが、それが難しい場合は最低でも芝刈の回数以上行いたいものです。芝生専用の除草剤を併用すると多少は効率化できます。
害虫や病気を防ぐ
病虫害を防ぐためには、上記の芝刈・除草や施肥を適宜行って芝生の健康状態を維持しますが、それでも病気になったり害虫が発生することがあります。
芝の主な害虫は、蛾の一種のスジキリヨトウ・シバツトガの幼虫、コガネムシの幼虫などで、葉や根を食べてしまいます。
害虫が発生している箇所は、所々枯れていたり、穴が開いていたり、幼虫を食べに鳥が来たりします。
害虫が発生してしまった場合には、薬剤散布にて殺虫を行います。
【芝の主な病気】
病名 | 症状 | 薬剤 |
さび病 | 葉に黄白色の斑点ができる。 | イソプロチオラン剤・水和硫黄剤・トリアジメホン剤など |
---|---|---|
春はげ病 | 円形や楕円形に褐色が枯れる。春に症状が出る。 | エクロメゾール剤・クロロネブ剤・チウラム剤など |
ブラウンパッチ | リング状に外側から褐色に枯れる。 | イプロジオン剤・キャプタン剤・チオファネートメチル剤など |
葉枯病 | 黒褐色になり犬の歩いた後の様にみえるため、犬の足跡とも呼ばれる。 | イソプロチオラン剤・イプロジオン剤・TPN剤 |
施肥
病害虫に対して抵抗力を付けるために、施肥を行います。芝生の生育状況に応じて、新芽の発芽から初夏までは即効性の有機質肥料を与えて成長促進を促したり、秋には緩行性の有機質肥料を与えたりします。
目土入れ
根や茎から、芽を出やすくするために、土をかけ適度な温度と湿度を保つ事を目土入れといいます。芝生表面の凹凸をなくす効果もあります。
特にゴルフ場などよく使用される芝生には、定期的に目土入れが必要になってきます。
エアレーション
公園や競技場などの芝生は、その上を歩いたり、競技をしたりと圧力がかかる事が多いです。それにより、土壌が固まったりし、発育が損なわれる事があります。
その為に、芝生地表面に穴を開けて通気を良くする事で、土壌が柔らかくなり、茎や根
の保護にもつながります。
エアレーションは、そこまで広くない芝生地ではガーデンスパイクを装着し、芝生を歩き回る事で生育環境の改善に良い効果を発揮します。
ガーデンスパイクでは時間がかかる程の広い芝生地では、エアレーターなどの機械を使用します。
芝生の種類
日本芝と西洋芝
日本芝は高麗芝など暖かで湿気のある日本の気候に合った暖地型の夏芝になります。高麗芝は特に多く使用されています。
西洋芝はケンタッキーブルーグラスなど寒いところでも生育できる寒地型の冬芝が一般的です。暖地型の夏芝だとバミューダグラス類などがあります。
寒地型は寒さには強いですが、夏枯れをしやすくなります。
TM9(ティーエム ナイン)
以前こちらのコラムでもご紹介しましたが、TM9というトヨタの開発した芝があります。
TM9は、草の丈が伸びにくく、芝刈をあまりしなくても済むという利点があります。
管理もしやすいので、個人のお庭などに的した芝になります。
ただ、TM9は他の芝生に比べお値段は少々高価なものになります。
グリーンに広がる芝生は、一か所が枯れてても、目立ちますし、
背丈がバラバラになっていても、統一された美観が損なわれてしまいます。
定期的な管理を行っているからこそ、あの芝生に寝転がった時のふかふか感や、一体が整った美しさを保つ事ができます。
- 第一回 樹木をきれいで健康に保つために、必要なお手入れ『剪定と刈込』編
- 第二回 樹木をきれいで健康に保つために、必要なお手入れ『病害虫の予防・駆除』編
- 第三回 樹木をきれいで健康に保つために、必要なお手入れ『施肥』編
- 第四回 樹木をきれいで健康に保つために、必要なお手入れ『灌水』編
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